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仙台高等裁判所 昭和54年(行コ)1号 判決 1979年5月23日

青森市大字油川字大浜二三九番地

控訴人

生駒由郎

同市本町一丁目六番五号

被控訴人

青森税務署長

村岡景隆

右指定代取人、仙台法務局訟務部部付検事

笠原嘉人

同訟務専門官

千葉嘉昭

同大蔵事務官

遠藤恒光

尻谷茂

岡本善吾

千葉英雄

右当事者間の所得税確定申告の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定取消請求控訴事件について、当裁判所は、昭和五四年四月二五日終結した口頭弁論に基づいて次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五二年六月二一日付でなした昭和五〇年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を取消す。訴訟費用は被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張は、控訴人において「控訴人は出訴期間につき、裁決のあったことを知った日から三箇月以内とする旨の定めのあることは知らなかったものである。」と付加して主張したほかは原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。

証拠として、被控訴人は乙第一号証の一ないし三、第二号証の一、二、第三、第四号証を提出し、控訴人は右乙号各証の成立を認めると述べた。

理由

一、控訴人が、昭和五一年三月一〇日、被控訴人に対し昭和五〇年分所得税の確定申告をしたところ、被控訴人が、昭和五二年六月二一日、控訴人主張の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたこと、そこで控訴人は、右各処分につき、同年八月二〇日、異議申立をしたが、被控訴人は同年一一月一九日右申立を棄却したこと、控訴人はこれに対し、同年一二月二一日、仙台国税不服審判所長に審査請求をし、同所長は、昭和五三年六月九日、原決定を一部取消す旨の裁決をし、右裁決書謄本が同年同月一九日控訴人に送達されたこと、控訴人はさらに、同年七月一六日、同所長に対し再審査請求書を提出したが、同所長は同年八月九日右再審査請求は不適法である旨控訴人に通知したことは、いずれも当事者間に争いがなく、この事実と成立に争いのない乙第二号証の一の記載とを綜合すると、控訴人は右裁決書謄本の送達によって、右送達の日に前記裁決のあったことを知ったことを認めるに足る。

しかるところ、控訴人が、昭和五三年一一月一日青森地方裁判所に本件訴を提起したことは記録上明らかである。

したがって、本件訴は、行政事件訴訟法第一四条第一項、第四項所定の出訴期間を経過した後に提起されたものであることは明らかである。

控訴人は、出訴期間の定めを知らなかった旨主張するが、かかる事由は、当事者の責に帰すべからざる事由により不変期間を遵守することができなかった場合にはあたらないし、他に右期間の不遵守が、控訴人の責に帰すべからざる事由によることについては何らの主張も立証もない。

よって、本件訴は不適法であるから、これを却下すべきである。

二、これと同旨に出た原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 兼築義春 裁判官 井野場秀臣 裁判官 田口祐三)

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